【文献】新・アトピーが消える日

書籍

出版年月:2017年10月

著者:伊藤 仁

出版社:栄光出版社

本書は、著者が自身で開設した仁こどもクリニックで行ってきた、脱ステロイドをベースに超酸性水の塗布を組み合わせた治療によって、多くのアトピー性皮膚炎患者を寛解にまで到達させた実績を記したものです。

本書で特筆すべき点は、「アトピーが治った」という寛解までの記録を数値で示している点です。

「アトピーが治る」という定義は、「全身のすべての皮膚が正常に戻る」としたうえで、1年後の再発も無い事を確認し、その上で、完治、としています。

そのような完治例は、260例にも及ぶとの事であり、この数値は、いかなる権威ある医者の言葉にも勝る説得力を持ちます。

超酸性水による治療を完了した例は738例で、残りの438例は、患者側が自己判断で完治したと考え、通院を中断したものが含まれると推測しています。

現在のアトピー性皮膚炎に対するガイドラインに基づく標準治療において、近年積極的に喧伝されるプロアクティブ療法では、理論的にずっとステロイド外用剤を止める事ができません (1)。一方本書による治療法は、脱ステロイドを基本とした上で皮膚が正常に戻るまでを完治と定義しているため、完治以降は一切の外用薬を必要としません。ここが決定的に異なる点であると言えます。

また著者は、アトピー性皮膚炎の根本原因は、黄色ブドウ球菌の皮膚生着によるⅣ型アレルギーであると考察しています。

超酸性水によるアトピー性皮膚炎の改善は、著者だけが検討したものではなく、他の機関からも学会や論文で報告がなされています。 また、超酸性水による消毒療法と同様のものとして、イソジンを用いたものも報告があります。 (2,3)

いずれにしても、本書の前著である旧版「アトピーが消える日」は1995年の出版ですが、当時から脱ステロイドの必要性を理解し、超酸性水による消毒の効果を見出していた点は特筆すべき点であり、まさに筆者の慧眼であると言えます。

何より、巻末に記載された患者の長期に渡る治療記録は、本治療法で完治へ至った実例として、強い説得力を持ちます。場合によっては、5年以上のケースレポートであり、このような長期的な経過記録は、1人の患者としては目にする機会はほとんど無いからです。

少なくとも、長期的な予後の見通しも示さず、ただ漫然とステロイド外用剤を処方し続ける大半の皮膚科医よりは、伊藤医師の治療法はよっぽど信頼感を有すると感じます。

私は、著者の医院で超酸性水による治療を受けた事も無く、自ら超酸性水製造装置を購入し試す事もしませんでしたが、もしもっと早く本書を読んでいれば、この治療法も検討対象の一つになったと考えています。

(1)https://www.kyudai-derm.org/atopy/docter/16.html

(2)https://steroid-withdrawal.weebly.com/28040276023027427861652881245212477124721253128082123922437537240246152770065289123981245612499124871253112473.html

(3)https://steroid-withdrawal.weebly.com/123002261512387123901241812365123631239412356123018213122881247312486125251245212489252692523924615.html

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